32『ナチュラル』

ナチュラル』(書影なし) 谷村志穂 幻冬社 ¥1,300 ISBN4-87728-011-1
あとがきの本の数行の文章がこの小説が何であったかを物語っていると思う。肯定的に見ることも否定的に見ることもできるけれど、今の時点では後者なのかなあ。足元に冷たい世界が広がっていることが見えているにもかかわらず薄氷の上でダンスを踊るような、破滅を目の前にしても半狂乱にならない不気味さみたいなものを感じました。「よく躾けられた犬」であったところの主人公がどうしょうもなく弱い。彼女が破滅を経て得た「真理」がどういうものであったのか、私には分からなかった。漠然としたものは見えてるんだけれど、掴めない。