33『夏期休暇』

夏期休暇 (長野まゆみEarly Works少年万華鏡)
夏期休暇 (長野まゆみEarly Works少年万華鏡)』 長野まゆみ 河出書房新社 ¥1,400 ISBN4-309-62104-X
以前読んだことがあるような気がする……でも結末まで読んでいなかったはずなのでカウント。一言いわせてもらうとね、千波矢のばかあ! あんたが全ての元凶じゃあないかー! 桂が、これでもかというほど嫌な女で笑い出したくなった。あれじゃああんまり葵が可哀想だ。千波矢が葵を殴りつけたバス停のシーンにはグッときましたけれども……! 海に行ったことなんて数えるほどしかないというのに、足裏を焼く熱砂や暗闇に響く海鳴り、海沿いを走るバスに吹き込む風が文字を通してまぶたの裏で鮮明に像を結ぶのが面白くもあり。やっぱし長野作品は“夏”が似合うと思う。暑くて熱い。