61『白いへび眠る島』

白いへび眠る島
白いへび眠る島』 三浦しをん 角川書店 ¥660 ISBN4-04-373603-7
生まれ育った場所に帰って来たのに気持ちだけが馴染めないでいるという疎外感、孤独、違和感、みたいなものが滲み出てて、分かるわーそれ*1、なんて思いながら読み進めていたら、ストーリーが思いもよらぬ方向へ。うーん、残念ながら現時点では不完全燃焼気味かな……。ちょっとね、展開が速すぎたのか、振り放されちゃったみたいです。以下ネタバレしてるぽいので畳みます。


信一が色々なものを「見てしまう」体質だということ、弓道部だということ、この二つが唐突に明らかになったのが惜しい。「ちょ、そんなのアリなの?」て印象を持ってしまったことで、物語からはじき出された感があった。惜しいなあ……。真相を知っている人間が近くにいて、その思惑に翻弄される、という話があまり好きじゃないのかもしれない。
著者がBL読者っていう前知識もあってか、信一と光市の仲良しっぷりが際立って(持念兄弟っていう設定のせいもあるけれど)読んでてアワアワしました。それ以上にアワワてなったのが荒太と犬丸ペアです。この二人が出てきた時に確信に近い思いがありました。「著者はこのふたりがダイスキに違いない」 だってだって書き下ろし番外編で巻末に持ってくるってそういうことでしょう!?

*1:祖父母宅へ居候していた頃、実家に帰る度に感じてたことと似ていたのです。