『Lantern Parade』

LANTERN PARADE

LANTERN PARADE

福岡に到着したその日にゆーちゃんに薦められて試聴し、一発で気に入って購入した1枚。Lantern Paradeというのは主としてサンプリングを多用した曲作りをしている、清水民尋氏によるソロ・ユニット。曽我部恵一主宰のROSE RECORDSから今までに2枚のシングルと1枚のアナログ、↑の『Lantern Parade』を含む2枚のアルバムをリリース、1枚のコンピレーション・アルバムに2曲提供している。このCDは18曲入りで¥2,000。
5曲目の「甲州街道はもう夏なのさ」(試聴はこちら)を先ず聴いてから買ったので、てっきり全編歌ものかと思っていたのだけれど、全体を見渡してみると確りとしたメロディを持っている曲は18曲中9曲ほど。あとの半分は、ピアノやサックス、フルートのきらきら光るようなフレーズを散りばめた中で現代詩にも似た歌詞が途切れ途切れに語られるというもので、歌というよりもポエトリー・リーディングに近い印象を受けた。清水氏の感情を限りなく抑えた歌声に反して詞からは諦めや苛立ちや微かな怒りが感じ取れる。sokabekeiichi.comに掲載されているLantern Paradeインタビューを読むと清水氏がパンクにルーツを持っていることが分かるが、恐らくはそのことがLantern Paradeのどこか反抗的な、群集から一歩遠ざかったような、自分の中に深く潜っていくような部分に表れているのだろうと思う。試聴したのが福岡のタワレコなので東京では環境があるかどうか分からないけれども、web上で試聴できるので是非聴いてほしい。個人的にお勧めなのは、救い上げた掌から光の粒が零れ落ちてゆくかのようなイントロが印象的な「1.希望とは」、陽光を連想させる曲調でありながら歌詞がそれを裏切っている「5.甲州街道はもう夏なのさ」と「9.胸の奥が狂おしいほどに」、ピアノの音色がそれだけで月光をイメージさせる「16.光」。ちなみに清水氏は仕事の傍ら曲を書いているらしく、今のところライヴをするつもりはないとのこと。「甲州街道は〜」を生で聴ける日は当分来なさそうで少し残念でもある。
書き終えてからLantern Paradeキーワード登録されていることに気づきました。リンクをたどってみると、各所で評価が高い。確かにこの夏一番のめっけもんですこれは。