27『助教授ルリ子の恋』

助教授ルリ子の恋
助教授ルリ子の恋』 谷村志穂 集英社 ¥1,500 ISBN4-08-77433-6
谷村志穂の描く女性像には(少なくともこの作品では)私には到達できそうにない爽やかさがあって良いと思った。決して強いわけではないが、ただ守ってもらうだけの女ではない。自分を追い詰めた相手に面を繰り出す勇気があれば、少女の発信するたった一言に号泣したりする。登場人物が読み手から遠すぎない感じが好き。こんな30代になりたいものだわ。視点がルリ子、蓮太郎、ニャンタロウの間でくるくる変わる。この物語は全て見通す者の視点から読んだ方が面白いのだろうね。読み始めはそれに戸惑った。ニャンタロウの独白がいとおしい。猫に限らず、人と同居している動物は人間のすることを眺めながらあれこれ思っているんだろう。