「その時」

祖父について。
前立腺がんの検査結果が届く。針を14本刺して組織を調べたところ、うち8本(8箇所)にがん細胞が認められたとのこと。他の臓器や骨への転移の有無を調べるため、今月末に再度検査入院。気丈に振舞えば振舞うほど、見ていてつらい。変異してしまった自身の細胞と対峙している祖父のことを思うと決してそんなことは口に出せないのだけれど。
立派な体躯の持ち主だった祖父は、去年の夏ごろから目に見えて細くなってしまった。「その時」がひたひたと近づいてくるのが分かる。覚悟しなければいけないのか。考えたくない。一人欠けてしまった後の生活のことなど考えたくない。が、目をそむけていられる段階はとうに過ぎているのだとも思う。
私はどうしたらいいんだろう。