64『やややのはなし』

やややのはなし (文春文庫)』(書影なし) 吉行淳之介 文藝春秋 ¥450 ISBN4-16-751703-5
エッセイ集です。文章がアクロバティックってわけじゃないのに、この人にしか書けないだろうなっていう文体。作家の中にはそういう人が確かにいて、吉行淳之介もその一人だと勝手に思っている。エッセイだけど、文章の視点は作者本人の後ろ、少し上の方から見ている感じ。どうやったらこんなにスマートになれるのだろう。できものから脂肪の塊が出てくる瞬間の快感について書かれた「ちゅるちゅる」*1、わかる……わかるわ……!てゾワゾワしながら読みました。氏は人生の中で特にドラマチックだった「ちゅるちゅる」に関しては後で思い出してうっとりしていたそうです。……わかる……。

*1:擬音です。どういう状態かは容易に想像できると思う。