62『終末のフール』

終末のフール
終末のフール』 伊坂幸太郎 集英社 ¥1470 ISBN4-08-774803-0
今まで読んだ伊坂作品の中で一番良いと思ったし、この先もこれがナンバーワンだろうなあと思う。あと3年で小惑星が衝突するはずの地球、日本、仙台が舞台の短編集。恐慌状態に陥った人というよりも、その中で静かに生きようとしている人を描いているから、終わりを描いているのに悲愴というよりもむしろ穏やかで台風の後の物凄い夕焼けをじっと眺めてる時みたいな気持ちになりました*1。個々の物語の絡みあい方が半端じゃなかったです。一つの街に暮らしてる人たちの姿を複数のモニタで同時に見ているようでした。何話目が好きかなんて選べないよ。収録作全てのラストシーンが素晴らしかった。
「冬眠のガール」て、冬色ガール(スムルース)ぽいな、なんて思ったりも。

*1:それでも「籠城のビール」で描かれている醜さは読んでてしんどくもあった。