58『ニート』

ニート
ニート』 絲山秋子 角川書店 ¥1260 ISBN4-04-873643-4
窮地に陥っている「キミ」を救うために銀行口座にお金を振り込んだり、自分の家に連れてきたりと世話をやく小説家の「私」。「キミ」が単なるヒモでないのは、べたべたに依存しきっているわけではないから? 甘えてしまう自分に抵抗を覚えつつも甘えざるを得ないってことを知っているからか。依存しているのはむしろ「私」の方なのかもしれない。ATMの前での祈るような独白が素晴らしいと思った。晩ご飯を一緒に食べようと「キミ」を呼び出すメールの文中、“初乗りでおいで”っていう一言が気に入った。短編集で、表題作と、続編の「2+1」、他3編収録。面白かったです。
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