3『MOMENT』

MOMENT
MOMENT』 本多孝好 集英社 ¥1,600 ISBN4-08-774604-6
死を間近に控えた患者の願い事を叶えてくれるひとがいる……。
とある病院に語り継がれる「必殺仕事人」にまつわる4つの短編。都市伝説それ自体が語り手になってて最初からネタばらしされてるも同じなんですが、重要なのは「必殺仕事人」ではなくそこに吸い寄せられる患者の物語。一本目の「FACE」という話が、初っ端から後味悪くて良い感じです。あと、主人公の幼馴染の女性、森野(葬儀屋社長)がとても良い。家業を継いで商店街の中の葬儀屋として先が決まりきってる彼女と、特に進路を定めず病院でバイトして生きている主人公のある種自由な生き方が対称的。彼女の容姿が男性的だというのもあって余計に。声の出演:高山みなみで読みました。わは。本多作品の会話のシーンて言葉の選び方がどこか芝居がかっているというか生々しくなくって、実際にこんな話し方してる人いないだろーって感じなんですけど、“すごく頭がいいか意地が悪い人同士の、互いの腹を探り合いつつのやりとり”っぽくて好きです。