2『人のセックスを笑うな』(ややネタバレ)

人のセックスを笑うな
人のセックスを笑うな』 山崎ナオコーラ 河出書房新社 ¥1,000 ISBN4-309-01684-7

こんなチンプな科白、吐きたくないけれど、「寂しい」「恋人に側にいて欲しい」。

過去形で語られていることもあって、喪失感、それに伴う空虚な感じがする話だと思っていた。そしたら上の一文に行き当たって。それで私はこの小説が好きになってしまった。なんでも自分にシンクロさせる悪い癖が出た。ラストシーンの花火の火を絶やさぬように移してゆくというのは、この先磯貝がユリ以外の女性と恋をすることを暗示してるのか。穿ちすぎなのか。はてさて。タイトルと本文とはさほど関係がないような気が少ししたかなあ。磯貝とユリとのセックスは、年齢差(20歳)があまり感じられなかったにせよ、幸福そうだった。ただ、物語が短すぎたのが残念。もっと量があってもよかった。