1『重力ピエロ』

chachakiさん(id:chachaki)ところの「2005年・100冊読書計画」がおもしろそうだなあと思い、パク真似してみた。1冊目はこれ。
重力ピエロ
重力ピエロ』 伊坂幸太郎 新潮社 ¥1,500 ISBN4-10-459601-9
遺伝子情報を扱う会社に勤める主人公の会社が放火された。幸いボヤで消し止められるが、火事の直前、主人公の元には「兄貴の会社が放火されるかもしれない」という弟からの電話があった。何故弟は会社が放火されることを言い当てたのか。街中の落書き消しをしている弟は、「火事の現場近くにはグラフィティ・アートが必ずある」という。関連性を調べてゆくうちに浮かんできた事実とは……。
連続放火事件の解明という一つの大きな流れの中に、兄弟の、家族の過去を細かくちりばめて束ねた感じ。事件自体は謎が謎を読んでいるわけでもなく。推理の段階で『リング』『らせん』を思い出した。
伊坂幸太郎は悪意を描くのがうまい。電車の中で大声で騒いでいる人間、犯罪被害者にマイクを突きつけるリポーター、壁に落書きをする若者(そういえば落書きがこの話のキィでもあった)、そういう人間達に周囲の人間が覚える嫌悪感や殺意。そういう種類の悪意。自分の心のうちを目の前にひょいと出された気がした。お前が普段感じているのはこういうことだろうって。類人猿ディスカッションは完全に自論と被ってて、余計重苦しい気持ちに。自分の倫理観が揺らいでる。私も弟と全く同じ意見だからだ(放火現場の張り込み Ⅱに書かれている)。実はこれが初伊坂。図書館で借りてきたまま試験に追われて読めずにいたけどようやく読めたよ。あらすじ書くのって難しいね。況んや感想をや。
私のやる気如何ではカテゴリが[100]→[50]になるかもしれませんが、それはそれとして年間の読書記録には最適だと思う。マイブック続かないし……。