89『塩の街』

塩の街 [ 有川浩 ]
塩の街』 有川浩 メディアワークス ¥1,680(税込み) ISBN4-8402-3921-9
2004年発行のデビュー作。文庫版を大幅改稿+後日談を4編収録、ハードカバーで登場です。前半は塩に侵食されていく世界に暮らす一組の男女と、二人の前に現れては過ぎ去る人のお話。後半は、その男女がそれぞれ大事なものを優先させたついでに世界を救うかもしれない話。文庫の感想で「塩害」の原因だとか仕組みだとかは余計だと思う、などとぬかしていた二年前の私を埋めたい。ていうか埋まれ。物語のキモじゃないか、まったく。相変わらず入江がいい感じに狂ってて素敵です特に番外。
"世界"とか、"みんな"っていう大事だけど実体を感じられないものより目の前の好きな人を選ぶエゴと後ろめたさをちゃんと書いてて、何度読んでも好きだなあこの話。アンケートはがき(書名があらかじめ入っているタイプの)が挟まってて力の入れようが伝わってきますね。まさかまさか映像化とか考えてないよね版元さん。実写映画化とかやめてほしいですいい加減。でもアニメ化なら受け入れてしまいそうです。脳内でキャスティングしちゃうぞ。
以下内容にほんのり触れる程度のダラ書き。
番外で秋庭と真奈のその後が描かれてなかったら暴れてやるー、と息巻きつつも、この人が主人公カップルをそのままにしとくわけが無いだろうってのは『空の中』『クジラの彼』で分かってたので安心して読んでました……読んでました……よ……お、おまえらーーーーー! くっつきすぎじゃーバカー! 大いに照れた。番外で、包帯だー包帯だーワーつってドキドキしてしまったですよ。そして中学生に対して最終的に嫉妬むき出しの三十路手前。なんじゃそら。大好きだ!
単行本になって挿絵が(一部除き)なくなったのでここぞとばかりに秋庭さんの髪型を捏造してはにやにやしたりしています。塩害始まって除隊して数ヶ月だから髪の毛そんな長くなってないだろうけど、後ろで結わえててほしいなァ。文庫版の秋庭は個人的に悪くなかったんだけどやっぱり作品とは合ってなかったように思えるんだ未だに。